ここ最近ニコン純正の RAW 現像ソフト NX Studio でいろいろ現像を試しています。
自分なりの解釈でフィルム風?のトーンで仕上げるということについてある程度パターンが出来上がってきたので記事にまとめて共有したいと思います。
以降、あくまで自己責任で参照していただく、ということでお願いしたいと思います。
注意!この記事のやり方は古い!
この記事に書かれている事は研究途上のものです。その成果を活かして note でカスタムピクチャーコントロールを公開しています。カスタムピクチャーコントロールを使う方が手軽で、露出も特殊なことをせずにすむので、現在はこちらをお勧めます。
以降は当時私がやっていたことをあえて知りたい方向け
NX Studio とは?
ニコンが配布しているニコンのカメラで撮った RAW (NEF) ファイルを現像するためのソフトウェア。無料で使えます。
どういうコンセプトの設定?
デジタル写真やインターネットが普及する前の 90 年代の丁寧に仕上げられた印刷媒体をイメージして、シャドウからハイライトまでなめらかにつながるトーンを与えるものです。一方でカメラ本来の色再現性をあまりスポイルしないように(色相変更は行うものの)フィルム写真にありがちな色被りなどはあえて足さないようにしています。
特殊な露出設定を前提としている上に、肌色を含めた色相変更が行われるため、人物の撮影には向いておらず、静物、風景などを対象としています。(人物は普通の設定で撮っています。)また、最低感度で撮っているので夜景など低照度の環境とは合わないかもしれません。
私自身が Z 7II で撮った写真を対象に調整し、ネガフィルム風の軟調=NEGA-WAKABA、ポジフィルム風の硬調=HANA-POSI、の二パターンを用意しています。
Z 7II 以外の Z, D シリーズのハイライト重点測光に対応しているニコンのカメラ(Z9,Z7,Z6II,Z6,Z5,Z fc, Z50, Z30, D6, D780, D850, D7500, D500, D5, D810, D750) も同様の考え方で撮影して仕上げることが出来ると思いますが、試したことが無いのではっきりしたことは言えません。各ボディのセンサーの性質の違いやハイライト重点測光のアルゴリズムの違いが仕上がりに影響するかもしれません。
NEGA-WAKABA
ネガフィルムをイメージした軟調の仕上げ。若葉のような淡い爽やかさ。
HANA-POSI
ポジフィルムをイメージした華やかな硬調の仕上げ。
RAW に含まれるデータの情報量を最大化するように撮影する
撮影データに含まれる諧調情報を最大化するように下のような設定で撮ります。
設定項目 | 設定値 | 説明 |
---|---|---|
測光モード | ハイライト重点測光 | 連続した領域において RAW のデータが MAX 値まで飽和すると、その領域にはトーンを与えるための情報がなくなってしまいます。いわゆる白飛びです。(実際は R, G, B 単独でも飽和は問題となる。)この白飛びを避けつつも情報量を最大化するための設定です。 |
露出補正 | ±0 | 撮影時に残すのはあくまで諧調情報で露出補正はしません。必要な補正は現像時に行います。 |
画質モード | RAW | 後で現像するために RAW モードで撮ります。JPEG は不要です。 |
RAW記録/圧縮方式 | ロスレス圧縮RAW OR 非圧縮RAW | 情報量を最大化するために圧縮RAWは避けます。 |
RAW記録/記録ビットモード | 14-bit | 情報量を最大化するため最大のビット数で撮ります。 |
ISO感度 | 64 | ノイズを最小化してダイナミックレンジを最大化するために基底感度で撮ります。 |
アクティブD-ライティング | オフ | 撮影時のアクティブD-ライティングは白飛びを避けるために、RAW の露出を下げて JPEG の露出を上げるということをするのですが、すでに白飛びはハイライト重点測光で避けられているので、むしろノイズを増やす結果になります。オフにしておきます。 |
NX Studio での現像時の設定
NEGA-WAKABA | 設定の名称 | HANA-POSI |
---|---|---|
ネガフィルムをイメージした軟調の仕上げ。若葉のような淡い爽やかさ。 | コンセプト | ポジフィルムをイメージした華やかな硬調の仕上げ。 |
サンプル画像 | ||
フラット | ピクチャーコントロール | フラット |
自動 | クイックシャープ | -1.00 |
-- | 輪郭強調 | 0.00 |
-- | ミドルレンジシャープ | 0.00 |
-- | 明瞭度 | -1.00 |
自動 | コントラスト | 自動 |
0.00 | 明るさ | 0.50 |
-2.00 | 色の濃さ(彩度) | -1.25 |
-1.00 | 色合い(色相) | 0.50 |
オート1(を初期値として絵に合わせて調整) | ホワイトバランス | オート0(を初期値として絵に合わせて調整) |
+1EV (を初期値としてヒストグラムを見ながら調整) | 露出補正 | +1EV (を初期値としてヒストグラムを見ながら調整) |
レベルと |
||
(0,0) | アンカーポイント1 | (0,0) |
(26,22) | アンカーポイント2 | (42,15) |
(67,57) | アンカーポイント3 | (90,60) |
(119,120) | アンカーポイント4 | (128,129) |
(142,155) | アンカーポイント5 | (164,190) |
(177,189) | アンカーポイント6 | (206,229) |
(255,255) | アンカーポイント7 | (255,255) |
1.00 | ガンマ | 1.00 |
現像時に画像毎に適切な露出補正を行うことが極めて重要
ハイライト重点測光で撮るとデータの白飛びを防げるものの露出そのものは最適にはなりません。
ヒストグラムと実際の画像を見ながら「露出補正」を一枚一枚調整してください。場合によっては「ハイライト」「シャドー」「アクティブD-ライティング」を調整するケースもあります。
特に空が画面内に含まれているようなケースだと「露出補正」を +2 ぐらいにまで上げてちょうど良いようなケースもあります。
逆に画面内に空が抜けるところが無い場合だと「露出補正」を -1 ぐらいまで下げてちょうどいい場合もあります。
ホワイトバランスやヴィネットコントロールは必要に応じて画像毎に調整
ホワイトバランスについてはデフォルト値を上のように設定していますが、自分が持つ個々の画像のイメージに合わせて変更してください。
ヴィネットはフィルム写真にありがちな特徴の一つである上に、視線を中心に集める効果があります。これも画像との相性を考えて必要に応じて設定を変えてみてください。
以上参考になれば幸いです。