写凡珠

ニコン Z f で京都を中心とした関西の風景を撮っています。しゃぼんだま、と読みます。

ニコン Z 6 と Z 7II の画質面の違いについての感想

高画素機であるニコン Z7II を使い始めて約一か月半たち、大体特徴がつかめてきました。その前に使ってきた中画素機 Z6 と画質面での違いがどんなものか大体分かってきたので、記事にしてみようと思います。

photordinary.hatenablog.com

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(2022/11/19 追記)

この記事を書いて一年以上後にアップデート記事を投稿していますので合わせて参照してください。

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前提

お断りしておきたいことの一つとして、Z7II を手に入れたタイミングで Z6 を手放しており、同条件での撮り比べなどはしていません。あくまで撮影しての手ごたえだったり、手持ちのデータを見比べたりしての個人的な感想という事で受け止めてもらえればと思います。

Z7II は一世代前の Z7 と、Z6 は二世代目の Z6II と画質面ではほぼ同じというような記事をよく見るので、たぶん、ここに書いていることについては Z7II を Z7 に置き換えて、Z6 を Z6II に置き換えたとしても成立すると思います。しかし、自分で使ってみたわけではないのではっきりしたことは言えないです。

また同一センサーサイズの高画素機と中画素機の特性の違いとして一般的に当てはまる部分も多分あると思うのですが、逆にニコン Z 限定の部分もあると思いますし、私の経験の範囲ではそれらを切り分けて話すのは難しいです。

センサーのスペックの違い

公式ホームページからの抜粋ですが、表にまとめると下の通りです。

ボディ Z 6 Z 7II
記録画素数 6048 × 4024 = 2430万画素 8256 × 5504 = 4540万画素
基底ISO感度 100 64

私の画像閲覧環境

4K のモニターを使って画像閲覧しています。モニター自身は 3840x2160画素あるのですが、写真のアスペクト比が横3:縦2なので実際に閲覧に使っているのは 3240x2160画素のみです。これは Z7 II に対しては各辺約 39.2 %、Z 6 に対しては各辺約 53.6% しかありません。

4K 程度では Z7II も Z6 も第一印象ではおおよそ同じに見える

上記の4Kのモニターだとパッと見た印象は Z7 II と Z6 とでほとんど違いが分からないです。この閲覧環境だと、カメラ名を伏せてカメラ名を当てろと言われてもなかなか見分けるのが難しいかもしれません。

まず、同じニッコールZレンズを使っているというのが影響していそうです。

他には、画像処理エンジン Expeed6 が、センサーの特性の違いを吸収して、トーンや色味といった絵の大まかな印象を決める部分をコントロールしているのが影響しているのだと思います。

ただし、ちょっとチューニングに違いがあるようで、私が良く使うピクチャーコントロールのオートが Z 6 では硬調すぎるのでコントラスト-1,彩度-1に調節していました。Z 7II ではどちらのパラメーターもデフォルトのままでちょうどいい感じです。

よく鑑賞すると違いが判る

4K のモニターでもよく見ると Z6 の方が色に艶や深みがある、ような気がします。一方で Z 7II の方がサラサラとしたキメの細かさがあり高周波成分を多く含む画像では描写の緻密さを感じることが出来ると思います。

とはいえ Z 6 にも十分解像感がありますし、Z 7II の色表現も十分深いです。どちらかというと、という感じです。4K 程度で観る分にはどっちが絶対良いとかは無くて、被写体や光との相性によって決まってくると思います。下に二つ写真を載せておきますが、どっちがどっちのカメラで撮られたものか分かりますでしょうか?(リンク先の flickr で答え合わせが出来ます。)

Crape Myrtles in Kyoto Gyoen National Garden

Kyoto Kiyomizudera Temple in Rain

もちろん等倍で観ると全然違う

当たり前と言えば当たり前ですが、等倍で観ると、画素数の分だけの広がりを感じることが出来ます。Z7II の画像を等倍拡大して、画面をスクロールさせながら、この大きさで全体を見渡せたら迫力あるだろうなと想像するのが結構楽しいです。

トリミングに耐えるという高画素の強味

よく言われることではありますが、高画素機は結構大胆にトリミングしても画質が落ちません。私も Z 7II にしてからトリミングに頼ることが多くなりました。

Z 7II は編集時に各辺 2/3 までトリミングしても 5504 x 3668 = 約2018万画素で Z50 や Z fc 相当の画素数は確保できることになります。各辺 1/2 にトリミングしても 4128 x 2754 = 約1136万画素は残ります。撮影後の編集時に 1.5 倍、場合によっては 2.0 倍のズームが出来る、と考えるとありがたみがイメージしやすいと思います。

撮影者たるもの撮影時に構図を追い込むべし!という考え方も当然あると思いますが、一度知ってしまうと頼らずに済ませるのが難しい利便性です。

一般的に言われる高画素機の弱点について

高画素機はノイズが多い

一般的に高画素機は画素ピッチが狭いのでノイズ、特に高感度ノイズが多いと言われます。

まず低感度では Z 7II は基底感度が 64 で多くの光を取り込むようになっているからか、ノイズを感じるようなことはありませんでした。むしろサラサラ感を感じます。

また、私はそもそも暗いところではあまり撮らないか、撮るとしても、明るい単焦点レンズを使ったり、手振れ補正を頼ってスローシャッターを切るようにしているので、高感度でも ISO 2000 を越えることがほとんどありません。この程度のISO値の範囲では比較してそこまでノイズが多いと思うことは無かったですね。

まとめると、高画素機は一般的に高感度ノイズが大きくなりますが、私の Z 7II を使って撮影する範囲ではあまり気になりません。

高画素機は回折限界のF値が低い

理論的には Z 6 は F11 以上、Z 7II は F8 以上絞ると、回折が起き画質が悪くなります(ただし画像処理エンジンがある程度補正処理をしてくれます)。

それが私の頭にあるので Z 7II でも絞りは F8 を越えて絞ることは光芒を出したい場合を除いてあまり無いです。

フルサイズで F8 程度だと、焦点距離や被写体との距離次第ではパンフォーカス効果を得るのがかなり厳しくなりますね。私の場合、なんとか意味のあるフォーカス面を見つけて合わせるようにしていますが、スナップ撮影との相性は悪いのかもしれません。

過去に XF10 でずっと F16 で撮っていて、帰ってデータを見たら回折で全然使えなかったという経験をして以来、そもそも回折限界を越えて絞ることは無くなりました。貴重な撮影機会を不意にしたくないですからね。こだわらず、多少の回折は許容して絞る、ということにしてもいいのですが、さじ加減が難しいところですね。

少し脱線しましたが、まとめると高画素機は回折限界に注意して絞る必要がありますが、私が Z 7II を使って撮る範囲ではそこそこの注意で済んでいます。

データサイズが大きく、記録や画像処理の負担になる

Z7II は 4540万画素で Z6 の 2430万画素に対して約 1.87 倍もあり、これはそのままデータサイズの大きさに影響します。データサイズが大きいと、記録媒体の消費がそれだけ激しくなり、RAW 現像にもパソコンのパワーを消費し、時間がかかってしまいます。

私は連射しないのと、そこまで多くの枚数を撮らないこともあって、記録媒体に関する心配はないです。幸い、今使っている PC で今撮っているような枚数だと RAW 現像に時間がかかりすぎて困るという事もないです。

まとめると、高画素機はデータサイズが大きく、記録や画像処理の負担になりますが、私が Z 7II を使う場合は気にならない範囲に収まっています。

高画素の Z 7II にしてトータルで良かったか?

Z 6 の画像を見返してみて、なんとなく絵に艶やコクがあるような気がして後ろ髪惹かれる部分もあります。また Z 7II の画素数由来のきめ細かさは 4K 程度の閲覧環境ではサムネイルには現れにくく等倍で鑑賞する必要があります。

しかし、大胆にクロップ出来てしまうということの利便性が大きく勝っていて、さらに幸い高画素機の欠点は自分の撮影では気にならないことが分かり、トータルで高画素機の Z 7II にして良かったという結論です。

今後はプリントもしてみたい

自分の画像閲覧の環境である 4K のモニターでは高画素のありがたみはそれほど分からない、ということが分かりました。

これを越えるデジタルの閲覧環境は当分手を出せそうもなく、仮に手に入れられるとしたら、デジタルではなくてプリントなのじゃないかと思っています。しかもかなり大きなサイズでプリントしないと差異がわからないはず。

いつになるかわからないですがA3ノビ対応のプリンターを手に入れたい…いやA3ノビ程度じゃ高画素機の力は現れないかも…どうなんだろう。

 

 

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